有限会社丸川造園
代表取締役 丸川 勝彦さん
金山で"面白い"庭造り!
飛騨金山で造園業を営む丸川さん。
そんな丸川さんが行うお仕事のこと、本当に面白いことばかりでした。
インタビュー形式で迫っていきます!
ーでは、自己紹介をお願いします。
有限会社丸川造園、代表の丸川勝彦といいます。
年齢は63歳、私で2代目です。高校卒業後、造園の勉強をするため、京都の方へ6年間修行させていただいて、日本庭園の造園をメインに長くやっています。仕事の割合としては造園の仕事が8割、土木の仕事が2割くらいです。今後は造園の方へ力を入れる形へ変えていきたいなと思っています。
法人で、代表にはなっていますが…現場を見るのが本当に面白いので、ずっと携わっていきたいですね。
趣味はドローンや3Dプリンターです。3Dプリンターは最近、ギャラクシー(アンドロイド端末)でも専用ソフトが出たので簡単に使えるようになりました。あとは魚釣りもします!
ー丸川さんの会社として大切にしていることは何ですか?
有限会社丸川造園
代表取締役 丸川 勝彦さん
我々の仕事は庭造りなのですが、大切なことはやはり「お客さんに喜んでいただく」ことです。
造園関係の仕事だと、自分の意見や「俺はこういう技術やセンスを生かしたいんだ!」という、我が強い方面に向きがちで、私も昔、そのような感情がありました。ですが、結局の仕事は作ったり剪定した庭、そこに住んでおられる人たちの空気づくりないしは空間づくりです。我々よりもお客さんに気に入られるようなことを意識して仕事に取り組んでいます。それがモットー、理念になっていると思います。
ー仕事の内容、特に丸川造園さんの強みは何ですか?
仕事内容のメインは、個人庭園の造園です。僕は、個人庭園で40年間ずっとやらせていただいて今に至っています。他にも庭園の管理、町のお客さんや住民の方と直接触れ合える仕事メインでやっています。
造園って本当に面白いんです。
植木剪定が春と夏と秋に主にあるんですけど、それぞれの地域の文化があるんです、斬り方とか形とか。僕が当時、京都で教えてもらった、すかし剪定(※いらない枝を透かして、自然の木のような感じに寄せる。)というのがあるんですけど、それは当時の自分は当たり前だと思っていたんです。
ですが、岐阜に帰った時、すかしの文化がないんです。これがもうショックでした。庭の木を見たら全部同じ形に見えるんです。周りの山に木があるのだから、庭先にある木は「形を造るものだ」という文化でした。
現在では、「すかしのできる剪定」がうちの強みなのかなと思います。造園の技能検定っていうのに15年ほど携わっていますが、1級にも8年前からすかしの項目が付与されました。検定では、5~6人で厳正に審査するんですけど、すかしの文化が岐阜にはないから審査が出来なかった。そこで審査の方へ「すかしっていうのはこういうものです」と教えたことがあります。それ(すかし)を覚えるとどんな木でも楽にさせられる。それを従業員だけじゃなくて、造園を1人で始めているような人たちにも、この透かしの技術の伝承をしていきたいです。
剪定のみならず庭造りも強みです。「造形する庭」と「自然に従う庭」の2つがあります。造形する庭は見栄えがすごいので「お洒落だな」と思ってくれますが、難しいのは自然に従う庭。最初見た人は何とも思わないのでしょうが、よくよく見ると「よくこんな庭作ったな」と思えるような、そんな自然に従う庭を作れるということも得意です。
ー職場の雰囲気を教えてください。
従業員も臨時でお願いして4人~5人くらいの規模です。なので自分の技術、仕事の段取りを常に伝えていきたいですね。そういった面では皆とよく喋ります。
あとやはり一番は、仕事しながら、お客さんとのコミュニケーションをとることですね。それは大切にしています。
やはり庭、造園に興味ある方。一緒に働くというか、私のところでいろいろ覚えていただいて、いずれは自分でやる。もしくは自分でやりたいんだけどどうしたらいいですか?って方です。すべての家周りのことに興味を
持っていて、尚且つ自然が好き、トータルで「何か面白いことができない
かな」と思っておられる方が、私のところに従業員としてというより、そういう方たちの集合体を作りたいなと思っています。
過去、独立した子が何人かいるので、会うとその都度「なんかやりたいね」という話をしています。京都にいた時、造園関係の若い仲間が出来て、意見交換をしていました。みんな面白いこと沢山思いつくんです。そんな彼らが、今、集まればとんでもないことができるんじゃないかと思います。今の若い子たちにそれを伝えていきたい。
造園に興味ある方って、自然とか、空間づくりとかの造形が好きだと思うんです。造形というのは十人十色で、それが組み合わさると面白いことができると考えています。それで経済的な基盤が出来たら素晴らしいことなのですが…最低限の基盤を作って、自分たちが楽しいことができるのであれば面白いんじゃないかなと思っています。
ー今後、やっていきたいことを教えてください。
いま、丸太が部屋二つ分くらいにいっぱい溜まっています(笑)。何に使うかというと、丸太を使ったアート的なものをなにかできないかと。丸太というのは、その木にとって、一度、「生」が終わっているようなものです。
これに関しては、間接照明的なものを作ってみたいです。お店じゃないにしても個人の癒される空間に丸太、自然の残っている
空間ができないものかと模索しています。露骨に「加工されたもの」ではなく、ちょっと自然の肌が残っているようなものがふわっとあって、明かりがあって…っていうようなものです。
また、丸太を使って壁なんて作ってみようかなとも考えています。丸太を少しづつ離して、透き通った壁を作って、照明おいて…って言うのが作れないかなと思っています。もし、よかったら商品化もしてみようかなと。
あとは、金山のこの場所でしか手に入らないような何かで作る。和菓子の楊枝によく使われる、「くろもじの枝」が自生していますので、これを利活用しながら、いろいろなところでコラボしたいですね。
山に生えている広葉樹とも組み合わせても、何かできたらいいなぁと思っています。
63歳になっても、常に「面白いこと」を最優先に探求し続けている丸川さん。
どんどん興味がわいてくることを考えていらっしゃる方です。
最先端の技術に触れたりしつつ、金山にある自然を利活用していくその姿に、本当に「心が若い!」と感じました。